百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
…今のは………!
私が、はっ!とすると
紺の結界は何事もなかったかのようにすっ、と元に戻った。
……見間違い…じゃ、ないよね…?
今、確かに紺は顔を歪めていた。
………“結界を傷つけられたから”………?
その瞬間。
私の頭の中で、今までのすべての出来事が繋がった。
「遥!周くん!」
私の声に二人は、ぱっ!とこちらに視線を向ける。
私は、二人に向かって大声で続けた。
「紺の心臓は、この“結界”だよ!
これを破れば、紺を追いつめられる!」
「「!」」
遥と周くんが目を見開いた。
紺は、“私の心臓は、決して攻撃されないところにある”と言っていた。
それは、私を包むこの“結界”のことだったんだ!
周くんたちは、結界を破壊した先にいる私に攻撃できない。
…紺の言葉の意味は、こういうことだったんだ!
その時、紺がギロリ!と私を睨む。
ギリリ!と、私を縛る光の縄が体を強く締め付けた。
「……っ…か…はっ……!」
食い込むような力に、息が出来ない。
紺が、怒りを宿した声で叫んだ。
『…黙れ、小娘……!
このまま、お前を絞め殺してやろうか…!』