百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


私は、その言葉に絶句した。

私以外のその場にいた全員も、息を呑む。


“鬼火銃が壊れる”………?

“使い物にならなくなる”……?


そうしたら…

そんなことになったら………

“二度と、元の世界に帰れなくなる”


どくん!!


今までで一番大きく心臓が鳴った。


………ここに来て………

紺を浄化出来ずに終わってしまうの……?


と、その時だった。

ギリ!と、私の体に巻きついていた光の縄が再び私の体を締め付けた。


っ!!


息が出来ずに、顔を歪める。


「詠!!」


「詠ちゃん!!」


遥と周くんが私を見て血相を変えた。

その時、紺が最後の力を振り絞るように言った。


『芝!私の傷を、最強の妖力を使って治せ!

そうしたら、この小娘を解放してやる!』




……そん……な……!


朦朧とする意識の中、私は芝狸に向かって口を開いた。


「だ……め……!

そんなこと…したら…また…紺が…!」



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