百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
さよなら、詠
パァン!!
一発の銃声と共に、辺りにまばゆい光が溢れ出す。
ゴォッ!!と、突風が私たちを襲った。
『ぎゃぁぁぁあぁっ!!』
紺の叫び声が辺りに響く。
『お……おのれ…、九条……遥…!!
私の野望が…こんな…こんなところで…!』
次の瞬間
私を縛っていた光の縄がパァン!と弾けた。
紺の体が、光と共に消滅していく。
紺が……浄化されていく………!
その場にいた全員が、絶句をしてその光景を見つめた。
────パキン。
!
小さく、“何か”が壊れる音がした。
咄嗟に顔を上げると、辺りを包む光の中で、遥の銀色の鬼火銃がカタカタと震えているのが見えた。
それを見た瞬間、ぞくっ!と体に震えが走る。
「…っ!!遥……………!」
私が名を呼んだ、その時。
遥の手の中の鬼火銃が、パァン!と砕けて飛び散った。
!
う………
嘘………………
私が目を見開いた、次の瞬間
紺の姿は完全に浄化され、遥が放っていた加護の力が、ふっ!と消えた。
その場にいた全員が、背中を向けている遥を声を出せずに見つめた。
「は……る…………?」
私の呟いた声が、静まり返った妖界に響いた。