百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
今日のあなたの運勢は
****
“…ちゃん………詠ちゃん”
…遠くで、私を呼ぶ声がする。
目の前が、真っ暗だ。
だけど、光を見たくない。
目を覚ましたら………
きっと………
きっと…………………
「詠ちゃん!」
はっ!として、目を見開いた。
目の前の周くんの瞳と目が合う。
!
……ここは………
横たわっていた体を起こし辺りを見回すと、そこは、竜ノ神を浄化した神社だった。
もう、金色の光は見えない。
ゆっくり瞬きをすると、遊馬と雅が心配そうに私を覗き込んでいた
「…佐伯、大丈夫か……?」
遊馬の声に、無言でぎこちなく頷く。
ほっとした表情を浮かべる周くんたち。
私は、そこで、はっ!とする。
私が探すのは、この場にいない“青年”の姿。
私は、周くんたちを見上げながらぽつり、と呟いた。
「…ねぇ……遥は………?
遥は………どこにいるの……?」
「!」
周くんたちが目を見開いた。
そして、誰も口を開こうとしない。
…どくん。
その時、私は改めて実感した。
“ここに、遥はいない”
“この世界に、二度と戻ってはこない”