百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


ぽつり、とそう呟いた時

窓の外から小さな音が聞こえた。


…え……?


はっ、として外へ視線を向けると

“何か”が、ひらひらと外から部屋の中へと入ってきた。


……なに………?


動揺しながら手に取ると、それは“真っ黒い羽”だった。


……!


こ………

これって……………


“天狗の羽”………?


どきん!


胸が大きく鳴る。


……これは、明らかにカラスの羽じゃない。

見覚えのある羽だ。


そう、これは………

一心くんの……………


その時

ずっと聞きたかった懐かしい声が夜空に響いた。


「おはモーニング!

さてさて、みなさんお待ちかねの占いのコーナー!」





……い…

今の声……………


はっ!として辺りを見回す。

すると、その声は私に語りかけるように言葉を続けた。


「今日の一位は、おひつじ座のアナタ。

ずっと願っていた奇跡が起こり、運命の人と再会するでしょう………」


…!!


私は、ばっ!と窓の外を見た。

するとそこに、屋根の上から人影が現れる。

言葉を失って、黒い影を見つめた。

“彼”は、トン…、と窓辺に着地する。

私は、その姿を見て、時が止まったように呼吸さえも忘れた。


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