百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

すると、遥は、くすくすと笑いながら私を撫でて答えた。


「んー?信じられねぇなら、触って確かめてもいいぞ。

………俺はここにいるよ、詠。」


遥は、さらに、ぎゅうっ!と私を抱きしめた。

遥の体温が、身体中から伝わってくる。

とくん、とくん、と心臓の音も聞こえる。


…遥が……ここにいる……。

……夢じゃない。


…夢じゃないんだ………!


私は、涙を拭きながら遥に尋ねた。


「どうして戻ってこれたの…?!

遥の鬼火銃は、完全に壊れたはずなのに…」


すると、遥は優しく微笑んで、ごそごそ、とポケットの中に手を入れた。

そして私に向かって“あるもの”を差し出す。

私は、それを見て目を見開くと、小さく呟いた。


「……これ………“お守り”…?」


遥は、私の言葉に、こくり、と頷いた。

それは、血だらけのお守り。

前に、遥が見せてくれた、凛さんが死ぬ直前に遥に手渡したお守りだった。

私がお守りをじっ、と見つめていると、遥はお守りの紐をしゅるり、と解く。


「………!」


すると、中から出てきたのは、銀色に光る鬼火銃のネックレスだった。


……こ…

これは…………!


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