百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
それは間違いなく、カンパニーの鬼火銃。
驚いて言葉を失う私に、遥はネックレスを見つめながら小さく呟いた。
「…お守りの中に、凛の使っていた鬼火銃が入っていたんだ。
……今思えば、凛が助けてくれたのかもしれないな。」
どくん。
胸が大きく鳴った。
…遥は、凛さんの鬼火銃のおかげでこの世界に戻ってくることが出来たんだ…!
言葉に言い表せない感情が心の奥から溢れてくる。
……もし、凛さんが死ぬ直前、遥にお守りを手渡していなかったら。
もし、遥がお守りを妖界に持って行っていなかったら。
ここで再び出会うことは出来なかった。
………いくつもの偶然が重なって
まるで、“奇跡”のように、私たちは今、ここにいる。
遥は、私を見つめながら話し始めた。
「詠たちが元の世界に帰った後、お守りの中から鬼火銃をみつけてさ。
狸のおっさんが妖力を使って時空を歪めて、俺を無理やり出してくれたんだ。」
……芝狸が………?
最強の妖力って、やっぱりすごいんだな。
妖界の時空を好きに歪められるなんて…。
遥は、鬼火銃を見つめながら続けた。
「…まぁ、無理やり妖界から出たせいで、この鬼火銃はもう使えなくなっちまったけど…。
さっき、一心にここまで送ってもらったんだ。」
そっか…!
だから、一心くんの羽が空から落ちてきたんだ。