百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


────!


どきん!!


緊張で、頭の中が真っ白になる。

遥のことしか、考えられない。


……悩む時間なんて、必要ない。


私の答えは、ずっと前から、決まっている。

私は、遥を見つめ返しながら小さく答えた。


「………うん。

……もう、私は遥のものだよ。」


「………!」


遥は、私の言葉に、驚いたように目を見開いた。

そして、かぁっ、と頬を赤くして目を細めて私を見る。


「…前まであんなに拒否ってたのに…

急に甘えられると、調子狂うっつーの…。」


ぼそり、と言った遥の言葉が私の耳に届いた時

遥が、すっ、と私の頬に手を添えた。

熱い体温が伝わってくる。

私が、ゆっくり目を閉じると、遥が甘く囁いた。


「好きだ、詠。

────これから、ずっと離さねぇから覚悟しろよ。」


………!



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