百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その言葉に、遊馬と雅が周くんを見た。
…周くんから、遥を尊敬するような言葉が
出るなんて………。
少し前までは考えられなかったことに感動を覚えていると、いきなり周くんが、はっ!として玄関の方を見た。
…?
…どうしたの…?
遊馬と雅も、周くんに続いて玄関に視線を向ける。
するとその時、覚えのある妖気を微かに感じた。
……!
こ………
この気配は………!
と、次の瞬間。
バン!と事務所の玄関が開いて、茶色の物体が飛び込んできた。
丸い耳、ふさふさの尻尾。
私たちが目を見開いた瞬間、聞き慣れたおっさんの声が事務所に響いた。
『おぉ!懐かしい!ここに来るのも久しぶりじゃ。
小娘、スルメイカはあるか〜?』
…この偉そうな態度………
「芝さん!どうしてここに…?!」
周くんが、目を輝かせて芝狸を見た。