百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


どかん!と私の心臓が爆発した。


な………っ!!

何?!

なんで、急に甘えモード?!


し………死ぬかと思った…!


遥の言葉に、心臓が、ぎゅっ!と鷲掴みにされる。


「い……いいけど………。」


私がぎこちなくそう答えると、ブツ!と通話が切れる音がした。


……!


驚いて、通話の切れたスマホの画面を眺めていると、バタン!と隣の部屋の扉が閉まる音がした。





そして、コンコン、と私の部屋の玄関を叩く音がする。


き………

来た…………っ!


私は、なぜか、ばくばくに緊張しながら玄関へと向かう。


……私、電話で遥の声を聞いただけでこんなに心臓が壊れそうなのに

会って、顔を見ちゃったら、どんな風になっちゃうんだろう…。


………私、本当に、死ぬ気がする………


ガチャ、と鍵を開ける。

すると、ギィッ!と扉が開いて、藍色の髪の毛がちらり、と見えた。


「遥…………」


私が、彼の名前を呼ぼうとした瞬間

遥が、ふっ、と微笑むのが見えて、ぎゅっ!といきなり抱きしめられた。


「っ?!」


驚いた拍子に足を滑らせて、私と遥はそのまま廊下に倒れこむ。

ドサッ!と遥の体重が私にかかった。

ふわり、とシャンプーの匂いがする。

バタン、と玄関が自然に閉まり、遥が私を押し倒したまま、ぎゅうっ、と強く腕に力を入れた。


「……は…遥………?」


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