百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
『おぬしら、その調子じゃ!!
竜ノ神を見つけたらすぐに知らせるんじゃぞ!!』
芝狸が、どこから持って来たのかわからない旗を振り回しながら、私たちを応援している。
……竜ノ神か。
ほんとに浄化の力で来るのかな…?
辺りを見回すが、竜ノ神らしき上物の妖の気配は感じられない。
とりあえず、今は目の前の妖を一匹でも多く浄化することが大事だよね。
私が、すぅ、と深呼吸をして
次の妖を浄化しようと、目の前に迫った妖に鬼火銃を向けた
その時だった。
「そいつは俺の獲物だ。
………撃つな。」
!
聞き覚えのある声が、私の鬼火銃を制した。
ばっ!と声のする方を向くと、藍色の髪の毛の青年が、空中に浮かんでいる。
な…………
なんで……人間が…空に………?!
周くんが、私につられるようにして彼を見た時、その場の空気が一瞬で変わった。
聞いたこともないような低い周くんの声が、私の耳に届いた。
「九条……遥……!!」