百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


突然現れた青年に、遊馬や芝狸も驚いて彼を見つめている。



遥………なんで…?!


“俺の獲物”……って…?



私が言葉を失って見ていると、遥は無表情のまま服の胸ポケットから黒い結晶を取り出した。



何……あれ………?



私が動揺を隠せずに様子を伺っていると

遥はそのまま手にした結晶を、私の目の前の妖に向かって投げつけた。







ズブズブ………



妖の体に刺さった黒い結晶は、妖の体の中に入り込んでいく。



……!


……何が起こっているの…?!



すると次の瞬間、周くんが目を見開いて叫んだ。



「佐伯さん!逃げて!!」



「えっ……?!」



私が周くんの方を向いた、その瞬間。


黒い結晶を取り込んだ妖が、苦しそうに悶え始めた。



『グ……グァァアアァ……!!』



妖の体は、どんどん大きくなり、牙や爪も鋭くなっていく。



な……何?!

どうしたの?!


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