百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私が呆気にとられて見ていると、黒い結晶を取り込んだ妖は、どんどん凶暴性を増していった。
辺り構わず暴れ出して、近くの木々や建物を破壊していく。
何が起こったの?!
まさか、あの黒い結晶のせい……?!
すると、その時
私の目の前に、妖が蹴散らしたコンクリートがものすごい勢いで飛んできた。
!
危険だ、と、思った瞬間
目の前に青年が舞い降りた。
パァン!!
銃声ともに、コンクリートが粉々に破壊される。
…っ?!
驚いてその背中を見上げると、
それは九条 遥だった。
………た………
助けて…くれたの………?
彼はこちらを向こうとしない。
そして、遥は無言のまま暴れ狂っている妖に向かって
もう一発、銀色の弾丸を撃ち込んだ。
『ギャァアァッ!!』
叫び声をあげながら、黒い瘴気をまとった妖が浄化されていく。
しかし、その光景は、さっきまでの浄化の光景とは違った。
結晶を取り込んだ妖は、苦しそうにもがきながら消えていく。