百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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事務所を出て、アパートの部屋へと戻ってきた私は
窓辺に座って、鬼火銃のネックレスを眺めていた。
……周くんの話を聞いてから、この銃が更に重くなったように感じる。
“加護者は浄化の力も大きいけど、体力の消耗も大きい。”
ふいに周くんの言葉が頭をよぎる。
…そりゃそうだよね。
なんの代償も無しに大きな力を得るなんて、出来ない。
私は、はぁ、と息を吐いてネックレスを床に置いた。
……ここで弱気になっちゃダメだよね。
一度自分でやるって決めたことなんだから、ちゃんと仕事して、お金を稼がなきゃ。
せっかく竜ノ神に加護者にしてもらったんだから、その分の働きはしないと。
私は、すっ、と立ち上がって、思いっきり背伸びをした。
「よーし!周くんのためにもがんばるぞーっ!」
私がそう叫んだ瞬間
窓の外からいきなり声が聞こえた。
「やっぱり男目当てだったのかよ、ふしだらな女。」