百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜







驚いて声の方を見ると、窓の外に、見慣れた藍色の髪の毛の青年の姿が見えた。



「周に抱きかかえられてる時、目がハートだったもんな。お前、周に惚れてんの?」



げっ!!


九条 遥!!



私は、遥を睨みながら答えた。



「事務所に入ったのはお金を稼ぐためよ。

……私のことなんて、あんたには関係ないでしょうが。」



すると遥は、トッ、と私の部屋の窓に舞い降りた。



「相変わらず素直じゃないよな……周に惚れてんのバレバレ。

ま、いいんじゃね。あいつは嘘つかねぇし、大切なものはちゃんと守れる男だし。」



な………なによ。



ってか、また急に現れて!


まるで何事もなかったかのようにケロっとしちゃってさ。


いつものなに考えてるのかわからない遥に戻ってるし。


……冷たくて傷ついたような顔してたから、妖を殺した罪悪感に押しつぶされそうなのかな、とか思ったのに。



私は、遥に、じろ、と視線を向けて言った。



「……あんた、一体どこから来たの?

今もそうだけど、妖を浄化する時も、空飛んでたよね?」


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