百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私の目がおかしくなければ、確かにこの男は空を飛んでいた。
間違いなく人間じゃない。
すると、遥は、妖しく誘うような瞳で私を見下ろして言った。
「俺の秘密、教えてやろうか?」
!
妖麗な笑みに、どきっ、とふいに胸が鳴ったことは、奴には勘付かれないようにする。
「……別に、私には関係ないけど……。」
私が静かにそう言うと、遥は、ふっ、と微笑んで窓枠に腰掛けた。
そして、銀のネックレスを外して、鬼火銃を外に向けて一発撃つ。
パァン!
乾いた音が、辺りに響いた。
ちょ………何のつもり?!
私が驚いて遥を見つめていると、遠くの空から、すごいスピードで何かがやって来るのが見えた。
『遥さま!お呼びですか?』
!
幼い声に、目を見開いて外を見ると、そこには小さな羽の生えた男の子がいた。
羽を生やし、手には、うちわのようなものを持っている。
こ……この子も空飛んでる!!
何者なの?!