百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
第2章カンパニーの研究員
「佐伯さん!そっちに行ったよ!」
「うん!任せて!」
パァン!
銃声が鳴る。
白い光を放ちながら、妖たちが浄化されていく。
ふぅ、と息を吐くと、周くんがにっこりと笑って私の方へと歩いてきた。
「だいぶ慣れてきたね。…もう僕の補助もいらないんじゃない?」
最初の浄化の日から一ヶ月。
あれから少しずつバイトをこなしていくうちに、鬼火銃の扱いも出際よくできるようになってきて
私はそこそこ銃を使いこなせるようになっていた。
「周くんがいてくれた方が心強いよ。
まだまだ私は命中率悪いし。」
私がそう言うと、周くんは、ぱっ、と空を見上げて言った。
「僕も鬼火銃は上手くないよ。
相楽くんは本当にうちの大事な戦力だね。」
周くんの視線の先には、残りの妖を外すことなく正確に仕留める遊馬の姿があった。
いつもは気のいいお兄ちゃんキャラで、
芝狸とふざけてて、言動も適当だけど
妖の仕事になると一気に人が変わるんだもん
すごく真剣な顔をして、鬼火銃の扱いもずば抜けて上手い。
身体能力も、並以上。
……ほんと、何なの?あの先輩。