居場所をください。



「じゃあ今度は赤ちゃんの服とか買ってくる。」


「ありがとう。」


それにミルクとおむつ…。

メーカーチェックしとかなきゃ。


「ま、とりあえず上がりなさい。」


「うん。

長曽我部さんもきて。」


と長曽我部さんを呼ぶと

長曽我部さんはおちびさんたちに捕まり

すでに一緒に遊んでいた。


「長曽我部さんて小さい子好きなんだ。」


これは意外かもしれない。

意外すぎる。


「俺子供もいねーしな。

ずっと弟とか妹とかもほしかったし。」


「いますけど。ここに。」


「いや、小さい頃の話だし。」


「こんなでかいやつとは遊べないってか。」


「俺こいつらと遊んでるし

話してこいよ。」


「ありがと。」


私はママと優輝くんとママの部屋へ向かった。


「本当可愛い。赤ちゃんって癒されるね。」


「こんな小さいうちからきたのは美鈴のときぶりね。」


「どうして捨てるんだろう。」


「ママはね、この子は愛されてるんだと思ってる。」


「…なんで?」


「ここに来る子達はそれなり虐待を受けてた。

精神的だったり肉体的だったり…。

でもこの子はそんなことないの。

痩せてたわけでもないし、汚れてたわけでもない。

ミルクもお風呂もオムツも

ちゃんとお母さんがやってくれてたんだと思う。」


「じゃあなんで…。」


「わからないわ。でも美鈴のときもそうだった。

必ず迎えにいきますって文字だけ

すごく気持ちがこもってるの。


優輝くんの親も、きっと離れたくなかったはずよ。

美鈴のお母さんと一緒。」


「私のお母さんと…?」



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