居場所をください。
とりあえず俺は近くの海に来た。
海水浴場でもないここは
人の気配はない。
あの子が言ってたアナウンスも聞こえない。
ここじゃないのか…?
とりあえず俺は車を降りて
浜を歩いた。
お世辞にも綺麗とは言えない砂浜。
流木があったり花火のごみがあったり……………
でもその中の
綺麗な長い金髪をなびかせた女が
遠目に海を眺めているのを見つけた。
俺はその子に後ろから近づいた。
「……………ごめんね。
さっきひどいこと言ったね。」
俺が話しかける前に
俺の顔を見ることなく美鈴が言った。
「ちゃんとわかってるよ。
美鈴の気持ちくらい。」
「うん。でもごめん。
長曽我部さんが来てくれて嬉しかった。
……………今もね。」
「……………美鈴。」
「一度信じた人だもん。
自分が望んでなかったことでも
ちゃんと受け止めるよ。
ちゃんと受け入れる。
長曽我部さんが信じてるなら
私も信じられる。」
「……………そうか。
たとえ裏切られても
俺はずっといるよ。」
「うん、そうだね。」
「お前が声を失ったとしても
俺はお前のそばにいるよ。」
「……………。」
「だから、あんま無理すんなよ。」
「……………ありがと。
帰ろっか。」
そういって美鈴は立ち上がり
俺をみてぎこちなく微笑んだ。