居場所をください。
「もしもし?」
『おはようございます。
朝からすみません。』
「いや。どうした?」
『あー、美鈴が気になって…。』
「はぁ?もう?
まだ9時だけど。」
『……………いつもは朝から一緒だったんで。』
「はいはい。
まー最初は困惑してたけど
自分なりに答えだしたみたい。
今は受け入れようと前向きだよ。
まだぎこちなさはあるけど
さすがにまだ9時だししかたねーな。
でも美鈴に何も言わなかったのは
やっぱりまずかったんじゃねー?」
『でも言ったら絶対あいつ俺について来たんで。
俺と母さんがいるところを見たら
美鈴、絶対きついと思うんで、いいんです。』
「は?え、じゃあ美鈴のためってのは…」
『美鈴に母親がいない現実を
思い出させないためですけど。
一緒にいても、孤独な思いさせるだけですからね。
長曽我部さんなら気づくと思って
あえていわなかったんですけど
気づかなかったんですか?』
……………なんだよ…。
こいつ、俺より美鈴のこと
わかってたってことかよ…。
「……………なんか、すげー腹立つ。」
『え、なんでですか?』
「なんでもねーよ、うるせーな。」
『いや、キレないでください。
あ、それと、美鈴が俺のいない間にCD出しても
俺には届けなくていいですから。
美鈴にもいってください。
俺自分で買いますから。』
「はいはい、わかったよ。」
『それだけです。
じゃあまたなにかあったら連絡するんで。
長曽我部さんも連絡してください。』
「美鈴のことはなんにも教えねーけどな。」
『じゃあ佐藤さんから聞くんでいいです。』
……………腹立つな、こいつ。
俺の妹だってわかって言ってんのか?
『俺がいない間に
美鈴のこと独占させてあげるんで
美鈴のことちゃんと教えてください。』
「どんだけ上からなんだよ。」
『お願いしますね、お兄さん。』
……………こいつ。
『じゃ、俺やることあるんで
また連絡しますね。
失礼します。』
そういって電話が切れた。