居場所をください。
「おい、俺の女になにしてんだよ。」
私が藍子の頬を叩くと
隣にいた男が立ち上がった。
いかにも悪そう。
少なくともこの4人の中じゃ
一番怖いオーラを放っている。
「あんたが藍子の男?」
「そうだけど。
藍子に手をあげるやつは
女でも容赦しねーけど。」
「あんたも彼氏なら
もっと彼女のこと考えたらどうなの?」
「は?」
「まだ17の女の子を家にも帰らせないでつれ回して
男として恥ずかしくないの?
そんなの、彼氏がすることじゃない。
彼女の親が心配するようなことを
彼氏がして良いと思ってんの?
それでもあんたは藍子の彼氏なの!?」
「私に親はいない。」
私がこの目の前にいる男に向かって言うと
藍子が私に向かっていった。
「そうやっていちいち干渉されるの
ほんっとうざいの!」
「いい加減にしなさいよ。
そうやってあんたはママに甘えてるの。
少しは自覚しなさいよ。
怒ってもらえるうちが華なの。
心配されてるうちが華なの!
あんたはそうやって結局ママに反抗して
甘えてるだけじゃない。
そんなに嫌ならさっさと施設から出ていけばいいでしょ?
税金で学校に通って、税金で暮らしてるくせに
偉そうなことばっか言ってないで
さっさと働いてあそこから出ればいいでしょ!?
遊んでる暇があれば働けばいいじゃない!
なにもしてないくせにえらそうなことばっかり言わないで!
……………失ってから気づいても遅いの。
そんなこと、藍子だってわかってるんじゃないの?
藍子はもう一回経験してるでしょ?
心配されなくなったときは
見捨てられたときだけなんだよ。」