居場所をください。



「……………偉そうなことを言ってんのはどっちだよ。

勝手なことばっか言ってんじゃねーよ。」


藍子が黙ると今度は彼氏が喋り出す。


「勝手なこと?どっちが?

親にここまで育ててもらった感謝も忘れて

彼女の親に心配かけさせる彼氏の方が

よっぽど勝手だと思うけど。」


「……………お前、本当むかつくな。」


「それは図星だからむかつくの。

否定できないからむかつくんでしょ?

殴りたいなら殴ればいい。

けどね、女を殴る男を

藍子と付き合わせておくわけにはいかない。」


「……………お前に指図される筋合いはねーな。」


「やめとけよ。」


彼氏が拳を私に向けようとすると

私の背後から声がかかった。


「そいつを殴ったら

真っ正面から戦いを申し込まれるだけだぞ。」


聞き覚えのある声に私は後ろを振り向いた。


「美鈴、こんなとこで何してんの。」


「朔也…なんで?」


「なんでって

ここ、俺の場所だけど。」


「は?」


「だーかーら

ここは俺の居場所つってんの。」


「……………じゃあこいつは?」


私は藍子の彼氏を指差した。


「俺の連れ。」


「えぇ。まじですか…。」


こんなむかつくやつと。


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