居場所をください。




「おい朔也。

この女と知り合いかよ。」


藍子の彼氏が言う。


「まーな。俺の友達~。」


「えー!朔也、美鈴ちゃんと友達なのかよ!

言えよ!紹介しろよ!こんなかわいい子と!」


私にサインを求めた赤い髪の毛の男がまた騒ぐ。


「声でけーし。普通にうるせーよ。」


「で、戦いを申し込まれるってどういう意味だよ。

こいつの後ろに誰かついてんのかよ。」


「あぁ、ついてるよ。

美鈴の顔にあざでも作ってみろよ。

鬼がきっちり損害賠償を請求してくるよ。

なぁ、美鈴。」


「あぁ、うん。

あの鬼以上に怖い人はいないね。」


朔也の言ったことに

思わず頷いてしまった。


「岳(たけ)が殴ったら

法の下で叩かれるだけだ。やめとけ。

一般人とはわけがちげーんだよ。」


「チッ…

めんどくせーやつ。」


……………どんだけ失礼なやつなの。

貴也以上なんだけど。


「ねぇ、朔也。

この人たちいい人なわけ?」


「まぁ良いやつだと思うけど?」


「彼女を家に帰さないのに?」


「帰りたがらねーんだからしかたねーだろ。

岳も説得はしてんだけどな。」


「岳って彼氏?」


「そ。」


「へー、意外とまともなところあるんじゃん。」


「てめーに誉められても嬉しくねーよ。」


うわー、どこまでも貴也みたいなやつ。


貴也の方が可愛いげあるよ、これじゃ。


「藍子。

誰と付き合おうと私はどうでもいいし

好きにして良いけど

本気で仲良くしたいならママを説得しなさい。

ちゃんと話しなよ。

たったそれだけのことで

ママは余計な心配しなくて済むの。」


「……………ほんとうるさいよね。

美鈴って。

なんでいちいち私に突っかかってくるの。」


「ママを悲しませたくないだけ。

私はあの人に感謝してるの。

藍子も少しは素直になりなよ。

言っとくけど、和也も心配してるからね。

あの和也でも。」



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