居場所をください。
「和也って誰だよ。」
藍子の彼氏が聞く。
「あんたが心配するほど
いい男じゃない。あんなやつ。」
「あぁ、俺が殴ったやつ?」
朔也が言った。
「あぁ、そうそう。
朔也が殴ったんだったね。」
「あれから会ってないか?」
「長曽我部さんがあそこまで言ったんだもん。
もう私に会いになんか来ないよ。」
「それもそうか。」
「ねぇ、藍子。
私あんたのこと嫌いだけど
でもあんたの気持ちは少しはわかるから。
絶対ママもね。
ママは幼い頃に両親を亡くしてるの。
それで、あの施設を始めることにしたの。
一人でも多くの子が親がいなくで
寂しい思いをしないようにって。
その思い、無駄にしないで。」
「……………わかったわよ。
ったく、面倒な女に見つかっちゃったな。」
「こっちのセリフ。
なんで私があんたなんかにここまでしなきゃいけないの。」
それでも、少しは伝わった気がする。
ちゃんと話せば藍子でも…。