居場所をください。
「じゃ、一曲目からね~。」
颯太は嬉しそうにDVDを再生した。
こいつ、本当に美鈴好きなんだなー…。
知ってたけど。
岳人は流れる映像から目をそらすことなく見ている。
その姿に…少し、妬く。
みんな真剣に見ていて
浮かれているのは颯太だけ。
私も真剣には聴いているけど……………
美鈴の歌詞一つ一つがなんか重くて
グサグサと突き刺さってくる。
「で、次が最後ね~。
最新だよ!2曲目の美鈴ちゃん
まじ可愛いから!」
と浮かれながらDVDを交換する。
「……………颯太ってさぁ
美鈴のどこがいいの?」
「どこがって可愛いし!
スタイルもよくておしゃれで
歌もうまいし歌詞もいいじゃん!
むしろ欠点があるなら教えてほしいよ!」
欠点ねぇ……………
「頭が悪いとこじゃねぇ?」
朔也が言った。
「いや、頭いいよ。」
「俺より悪かったけど。
瑠樹といい勝負だもんな。」
「うるせーよ。」
「ってか一高って時点で頭いいでしょ。」
私なんて………ねぇ。
「ちょっとそこ!
真面目に美鈴ちゃん見てよね!」
颯太…あんたが聞いたんでしょ…。