居場所をください。



「ここ。」


私は五十嵐家の墓の前で止まり、

お花を供えて手を合わせる。



……………なんか前は貴也と来たのに

今は亜樹と来てて変な感じ。


「綺麗な墓だな。」


「たぶん、私のお父さんだよ。」


「会ってんの?」


「んー…まぁ…たまーにね。」


「父親なのに一緒に暮らさねーの?

今、一人暮らしなんだろ?」


「まぁいろいろ事情があるの。」


「ふーん。

ってかこの前会ったのマネージャーだろ?

できてんの?」


「私と長曽我部さんが?

そんなわけないじゃん。」


「なのに抱き付くか?普通。」


「あぁ…まぁ癖というか…」


「彼氏は怒んなかったわけ?」


「怒らないよ。

私と長曽我部さんはそんな関係じゃない

ってちゃんと知ってるから。」


「ふーん。」


「……………ま、今ならそんなの関係ないかもだけどね。

私のことなんてどうでもいいみたいだし。」


「そんなことねーだろ。

どうでもよくねーから違う男に行ってもいい

なんて言うんだろ。

俺のことなんか気にしなくていいからって。」


「……………わかってるよ。

でもそんなの全然嬉しくないけどね。」


ずっと待っててほしいって

そういってほしかったのにね。



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