居場所をください。
「あれ、誠帰ってたのか。」
奥から誠の親父さんがきた。
「いや、おじさんここ俺んち。
誠はまだ家に帰ってねーって。」
「はは、そうだな。」
ったく、親子揃って…
「でも誠、店閉めるの早くないか?」
「あのさぁ、父さん。
俺17歳。働けるの22時までなの。
しかもあの店夜美鈴ちゃんしか来てくれないし。
美鈴ちゃんも20時には帰ってったから
一人ですげー暇だし。
あ、そういやスープありがとうってさ。
なんかすっげー喜んでたけど。泣いてたし。」
「泣いてた?」
「なんで貴也が反応すんだよ。
まぁ泣いてたっつっても嬉し泣きなのか
一緒にいた男がどうした?って聞いたら
美味しくてって答えてたし。」
「一緒にいた男?」
「前も一緒に来てたけどな。
今日は二人だったしデートだったのかなー。」
……………こいつ…。
「あ、そうだ。
最後に会いたくなった、ともいってたけど。
父さんと美鈴ちゃんできてんの?」
「できてんのは俺じゃねーよ。」
会いたくなった、か。
あいつ、俺の作ったスープって
ちゃんとわかったんだなー。