居場所をください。



「本当はここ残りたいですけど、お金かかるんで…。

今は大人しく親の言うこと聞いてここ離れます。」


「…親のそばにいなくていいの?」


「いいんです。

それが親の願いなら

最後くらい、いい息子でいたいんで。」


……………なんていい子なの!!


「でも、絶対戻ってくるって決めてるんです。

バイトして金貯めて、こっちで就職します。」


「どうして?」


「……………まぁ親が生きてたら…ってのもありますけど

親以外にも、離れたくない子がいるんです。」


「…もしかして好きな子!?」


「……………はい。」


うつむいたまま頷く小林くんの顔は少し赤く

なんだか可愛かった。


「中学の時から好きで、

離れたくなくて必死に勉強して

同じ高校に入ったんです。」


「え?」


それってもしかして……………


「その子、親がいないんですけど

いつも明るくて前向きで。

俺、よくその子に励まされるんです。

それに最近ちょっと可愛くなったし。」


……………絶対栞奈じゃん。

絶対両思いだよ。


「はは、本当に大好きなんだね。」


「え!い、いや…なんかすみません!

こんな話して…。」


「全然いいよ。」


「あ、そういえばその子も美鈴ちゃんのこと

好きだと思いますよ。

よく曲を聴いていますから。」


「そっか。」



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