居場所をください。

噂が広がります。




うーん……………


「…美鈴ちゃん、なにしてるの?

こんなとこでパソコンを睨んで。」


「あれ、栞奈おかえり。

今歌詞考えてたの。」


「へぇ、でもなんでここ?

こんなうるさいとこで…。」


「ここが私の原点だからね。

なんか思い浮かぶかなーって。」


そう、私はアルバムの曲作りに行き詰まり

施設へ来たのだ。


……………でも、さすがにうるさすぎたかもしれない。


「ほんと、バカでしょ。

こんなうるさいとこで考え付くわけないでしょ。」


「あれ、藍子ちゃん早いね。」


「うるさいよ。

あんたも私がいて嬉しいでしょ。」


「は?誰があんたなんか。」


藍子とはあれから普通に仲良し。

じゃれ合いも普通にする。


「で、なんで岳人までいるわけ?」


「彼女の家にいて何が悪いんだよ。」


「……………あっそ。」


彼女の家って。

施設じゃん。

しかもなんでリビング?

あ、部屋は男で入り禁止なんだっけ。


「あー!うるさい!

栞奈、ママに紅茶淹れてって言ってきてー。」


「えぇ、私ー?」


「おねがーい。」


「仕方ないなぁ…。」


ふふ、優しいね。


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