居場所をください。

「…っていうか未成年じゃん…。

いい大人が子供に何してんの…。」


「あそこはそういう黒い噂だらけだよ。

スカウトしといて入会金取ったり

抱かせないと仕事やらなかったり。

なのに給料は安い。最悪だろ。」


「……………じゃあそこの事務所で

活躍してる人はみんな…。

大橋さんも…。」


「じゃなきゃお前のMV出てねーよ。」


「……………最っ低。」


「でも、嫌なら拒否すりゃいいんだよ。

だからみんな同意の上で。

事務所やめるってなったら

ただではやめさせてくれないだろうけど。」


「じゃあみんなどうするの？」


「ずっとそのままか、逃げるか

どっか大手に拾ってもらうか、だな。」


「じゃあうちみたいな事務所が？」


「まぁうちは拾わねーけどな。

あんなめんどくせー事務所と敵対したくねーし

手切れ金払うほどの大物もいねーし。

大物なら向こうも簡単には手を引かねーし。」


「……………なるほどねぇ…。」


「この世界にも白があれば黒もある。」


「じゃあ私が長曽我部さんに

のんきについてってのって

本当は危険だったんだ。」


「そうだな。

まぁうちは大手だから

そこまで警戒心なかっただろうけどな。」


「まぁね。」


でもよかった。

私に声をかけてくれたのか

長曽我部さんで。