居場所をください。



「話ずれたけど、

マスコミはお前のマンション来てるから。」


「うん、でも大丈夫だよ。」


「きっぱり言うか?」


「ううん、何も言わない。

わざわざ言うことでもないでしょ。

私と貴也の関係はなんにも変わってない。

私がなにか言っちゃったら

貴也にもきっと迷惑かけるよ。

せっかく今こっちと離れてるんだなら

さっさと噂なんか冷まして

貴也にも前の生活に戻してあげたいし。」


貴也の一番ほしいものは

一般人の松野貴也なんだから。


手に入れることはできなくても

それに近づけてあげることはできるから。


「貴也にもきっとそれが伝わるから。」


「すげー自信だな。」


「はは、ほんとだね。

でも話せば話すほど

真実がぼやけちゃうから。きっと。」


「そうだな。

好き勝手に報道されるだけだもんな。」


私と貴也が変わらなければ

それでいいんだ。


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