居場所をください。
……………あいつ、俺の言いたいこと
そのまんま言うよな。
なんつーか…言葉で伝えてないのに
俺のことよくわかってるよな。
ピンポーン……
誰だよ、朝っぱらから。
モニターを確認すると、佐藤さんがいた。
「開いてるから入って。」
俺がそういうと玄関が開く音がした。
「よ。」
「なんか用?」
「久々にマネージャーに会ったのに
つめてーな。」
「俺は忙しいんだよ。」
「……………そういいながら
さっきまで美鈴ちゃんを見てたんだろ。」
「なんだよ、知ってんのかよ。」
「さっきまで車で見てたからな、俺もこれを。
いい女だよな~、相変わらず。」
「……………手出すなよ。」
「違う女と噂になってるやつが
言えることじゃねーな。」
……………本当ムカつくな、こいつ。
それでも俺と美鈴のマネージャーかよ。
「……………用件はなんだよ。」
「あぁ、これ。長曽我部さんから。」
……………昨日のスープボトルか。
「そこ置いといて。」
「無理。取り来い。」
「はぁ?」
なんでだよ。
「いいから。さっさと持て。」
……………俺にはきついよな。
美鈴には優しいくせに。
美鈴は特別かよ。
「…はいはい。」
俺は佐藤さんからスープボトルを受け取った。
……………あれ?
「重い…。」
「さっさと開けろよ。
冷めても知らねーからな。」
「え、これ誰が…」
「そんなの、飲まなくてもわかるんじゃねーの。
貴也ってそんなアホだっけ。
じゃ、俺打ち合わせあるから。」
「はや!ちょ、待てよ!」
「お前がなんにも言わなくても
あの子はちゃんとわかってるよ。」
佐藤さんは足を止めて俺を見ていった。
「じゃーな。」
滞在時間は数分だけ。
佐藤さんはさっさと帰っていった。