居場所をください。
『プルルル…もしもし?』
「あ、お疲れさまです。
今ちょっといいですか?」
『あぁ、大丈夫。
なに?』
「あの…俺今日病院に行ったんです。
それでー……」
俺は今日あった出来事を話した。
『ふーん。向こうも好き勝手にやってくれるな。』
「なのでまたたぶんどっかに流れます。」
『で、どうする?』
「どうするって…」
『否定しても、また来るんじゃねーの。
向こうはそこまでしてきたんだ。
否定すればするほど向こうは
どんどん汚い手を使ってくるんじゃねーの。
……………俺は流されるのもひとつの手だと思うけど。』
「でも美鈴は…」
『肯定しろとは言わない。
美鈴、前にいってたよ。
私と貴也の関係はなにも変わってないんだから
コメントを出す必要はない、ってな。
話しすぎると真実がぼやけちゃうから、って。
あいつはちゃんとわかってるよ。』
「……………長曽我部さんに任せます。」
『美鈴のこともか?』
そう言う長曽我部さんの声は
少し笑っていた。
「はい。」
『まぁあいつなら最近楽しそうだけどな。
新しい友達もできたみたいだし
施設にもよく行くようになったしな。
貴也がいなくても。』
「……………なんですかそれ。」
『はは、まぁあいつなら大丈夫ってこと。
とりあえず肯定もしないし否定もしない。
うまく誤魔化す程度で。
美鈴はなにも言わなくてもお前を信じてるよ。』
「はい。」