居場所をください。




「ま、とりあえず焼肉行こ。」


「切り替え早いな。」


「気にしてても仕方ないし。

あ、あそこあそこ。」


焼肉屋は映画館のすぐ近く。

前に高橋の誕生日で来たところ。


「……………ここ高いし。」


「いいじゃん。私の奢りだし。」


「却下。あっちいくぞ。」


そういって私の腕をつかむ亜樹。


「えぇ!ちょ、ちょっと!」


「うるせーよ。」


どこ行くんだよー…。



「…ってここ?ここでいいの?」


「普通の高校生はこっち。

……………お前、眼鏡くらいかけろよ。」


「あ!最近すごいいいだて眼鏡を

メイクさんからもらったんだ~。」


忘れてたよ。

私はバッグの中からとっておきのめがねを出し、

早速つけた。


「ふ…はは、お前すげーぶすだな。

瓶底レンズかよ。」


「…笑った。亜樹が笑った!」


しかも声だして笑ったよ!

初めて!可愛い笑顔するじゃん!


「お前のブスな顔見て笑わねーやつはいねーよ。

あー、笑える。その顔ヤバイ。

俺こんなブスと店にはいるのかよ、はは。」


「……………ちょっと。

笑いすぎだけど。」


「しかも髪の毛とか服とかと

合ってなさすぎなんだけど。」


「もー、うるさいよ!

早くはいるよ!」


「ほんっとぶすだな。

めがねだけでこんな変わるのかよ。」


「亜樹、怒るよー。」


「はいはい、入りゃいいんだろ。」



でも亜樹がそんな笑うなんてね。



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