居場所をください。
「ごちそうさまです。」
「お前さー、財布変えねーの?」
う……
「ボロボロじゃん。
しかも安っぽい。」
「…買いに行く時間ないんだもん。」
「いや、あるだろ。」
「…なんか、いいもの買いたいけど
どういうのがいいかよくわかんないし
服みたいにすぐ決められないんだもん。」
「優柔不断?」
「そうかも。
背中押されなきゃ買えなくて
この時計も隼也いなきゃ買えなかったし…
もともと貧乏だったから
高い買い物できないんだよね。
服とか靴とか鞄とか髪の毛とかは
仕事で使うから必要経費だと思えるけど
お財布とかそうでもないしさ。」
「じゃあ買いに行くか?」
「え!いいの?」
「まだそんな遅くねーし。
さっさと行くぞ。」
私は亜樹についていった。
「希望あんの?」
「や、よくわかんない。
白くて長ければなんでも。」
「予算は?」
「10万以内。」
たまにはカード使わないと
社長が悲しむらしいからね。
「ならどこでも買えるか、大抵。」
「お任せしまーす。」
投げやりだけど
自分じゃよくわかんないからね。