居場所をください。
「っていうかさ、
私が亜樹と撮られたくらいで
つぶれたりしないし。」
「お前なぁ、お前が貴也と付き合ったことで
どんだけ好感度上がったと思ってんだよ。
せっかくあげた好感度、下げるわけにはいかねー。」
「ふーん…。」
「ってことで、とりあえずコメント出すわ。
美鈴、あと一時間くらいで出発な。
じゃな。
あ、亜樹は帰っていいから。」
そういって長曽我部さんは
一番に出ていった。
「じゃあ亜樹のお母さんは
ここをやめて、あのお店を始めたんだね。」
「そ。
俺がガキの頃、ずーっと働きっぱなしだったからな。
だからやっと好きなことができたんだってさ。」
「そっか、よかったね。」
「で、隠し子って。
お前はそれでいいわけ?
お前を捨てた父親の会社の商品としてここにいて。」
「おい亜樹。
すげートゲのある言い方だな。」
「本当のことだろ。」
「はは、別にいいよ。
こんなとこが、私の今の居場所だから。」
「こんなとこって…。」
私の言葉に少し落ち込む社長。
「こんな偽りばっかりの世界だけど
嘘ばっかりついてきたけど
優しい嘘もあるんだなって知ったし。」
長曽我部さんが作ってくれたこの居場所が
私の宝物だから。