居場所をください。
「ってか早く寝なよ。
明日部活はないの?」
「明日は休みです。
なんかいろいろ興奮してて。
美鈴ちゃんのこともですけど
市川と付き合えたってのもあって
なんかいろいろ信じられない1日で。」
「………栞奈をよろしくね。」
「あの…こんなこと聞くのは
よくないと思うんですけど
市川はなんで施設に…」
「…………栞奈が来たとき、私も6歳だったし
正確なことはわからないんだけど
栞奈が言うにはいつも通り保育園に行って、
夜、何時になっても迎えに来なかったんだって。
保育士が家まで行ったみたいなんだけど
誰もいなくて…何も言われず置いていかれたの。
児童相談所に連れていかれそうになったとこを
施設長のママが拾ったって感じ。」
「なんで児童相談所ではなく施設に?」
「児童相談所の児童養護施設はいろいろ厳しいし
自治体にもよるけど、この地域のは
いい噂も聞かないからね。
この年齢になってやっと知ったことだけど。
児童相談所にいるより、施設の方が
暖かさはあると思う。
他の自治体は知らないけど。
児童相談所は予算のために子供を親元へ
返さないって話も聞くし
虐待とかなくても保護して返さないとか
そういうこともあるみたいだから。
施設は…というか、
私が育ったとこはそういうのないから。
だから栞奈があの施設に来てよかったよ。」