居場所をください。



会社から45分ほどで、港へ到着した。


「あの船?」


「そうだよ。」


「美鈴、ちゃんとコート持ってけよ。

寒いから。」


「そんなの、言われなくてもわかりますー!

子供じゃないんだから!」


……………いや、子供か。


私はコートを羽織り、いつもの癖で

長曽我部さんの横に行った。


「なんかそうやって横に並ぶと

兄妹というよりカップルみたいだな。」


社長の言葉にとっさに離れる私たち。


「「遠慮する。」」


長曽我部さんとハモってしまい、

睨み合う私たち。


「はは、仲が良くて結構だな。」


……………まったく。


「美鈴、早く行くぞ。」


長曽我部さんがそういうので

結局私は長曽我部さんの横に並ぶのであった。



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