居場所をください。
「夜、バイトが終わって施設に戻ると
さっきみたいに私の腕を掴んで部屋に押し込まれてた。
で、無理矢理。
さすがに引いたでしょ。」
「……………だから、施設から出たのか?」
隼也が聞いた。
「うん。そう。
施設に戻ると和也の相手をして、
部屋に戻るとそれを妬んだ藍子がいて。
それが嫌で嫌で仕方なかった。
あそこは孤独の塊だから
私以外にもそういう子はいたの。
みんな見て見ぬふり。
和也が私を選ばなくても、
きっと私は他の誰かに相手にされてた。
女の子は性処理機になるしかなかったの。」
私は外を眺めながら言った。
「……………辛かったな。」
隼也が言った。
「……………でも、今はもう平気。
今は長曽我部さんいるし。
隼也も貴也もいるしね。」
「おい、俺は?」
「高橋は夏音だけ見てなよ。」
「……………なんだそれ。」
「でも今日は高橋いてくれてよかった。
ありがと。」
「おう、いいけどさ、あのくらい。」
「隼也もありがと。」
「俺はなにもしてないけどな。」
「あれでいいよー。
なにかして、悪い評判出たら困るもん。」