居場所をください。
「でもなんで貴也がしってんの?
頭悪いじゃん。」
「一言余計だっつーの。」
「本当のことだろ。」
「……昔、父さんが言ってたんだよ。
俺がまだ6歳くらいの時かな。
風邪引いててしんどいのに舞台があって
社長が社長になりたてのころ
それでも俺に出ろって言ったときがあって
その時本当に芸能界が嫌になった。
そんとき父さんが
『The show must go on』
って言ったんだよ。
『引き返せないこともある。
お前を待ってる人がいることを忘れんな。
プロとして仕事を引き受けたなら
その言葉を胸に刻め。』
ってさ。
6歳だった俺には理解できなかったし
あとになって6歳の俺に何言ってんだって思ったけど
きっと年齢なんか関係なかったんだろうな。
やるからには最後までやり遂げろって
言いたかったんだろうな。」
「……美鈴のおかげでそれも思い出せた、と。」
「そうだな。」
やると決めたことは最後まで、な。