居場所をください。
「じゃあ長曽我部さん呼んでくるね。」
佐々木さんはそれだけいうと楽屋を出た。
それにしても……ギャルだね。
本当に女の子ってすごい。
ここまで変わるんだね。
「よ。」
「あ、長曽我部さん。
どう?」
「いいんじゃね?
今っぽくなくて。」
「なにそれ。」
「それより佐々木、ちょっといい?」
長曽我部さんに呼ばれて佐々木さんが戻ってきた。
「美鈴、へそ出したいんだけど
どうにかならない?」
「あぁ、簡単にでよければ。」
「えぇ!絶対寒いじゃん!」
「会場は熱いよ。熱気がヤバイ。
歌えば暑くなる。」
………大丈夫ですか。
なんて心配してる間に
佐々木さんは私の着ているTシャツを切り出した。
右側だけ少し切って、裾をあげて
そこをきつく結んで、へそを出した。
「うん、いい。」
「これじゃ夏じゃん。」
「ライブなんだからいいんだよ。」
いいのかなぁ…。
「それよりスニーカー、履けないだろ。
そっち座れ。」
言われた通り座ると
長曽我部さんは包帯をとり、
テーピングをし直した。
「すごーい。全然痛くない。」
「だろ。」
長曽我部さんはそのまま
怪我をした足に靴を履かせた。
「よし。」
「ありがと。」
私はもう片方にも靴を履き、
杖を使って立ち上がった。