居場所をください。
ラスト一曲もあっという間に終わる。
もう終わりか。楽しい時間はあっという間だね。
……………このまま終わるなんて、やだ。
私は片足に力を込めて、立ち上がった。
「美鈴ちゃん!」
ステージからだと爆音の演奏で
イヤモニでほとんど周りの音は聞こえないようにしてるのに
ハルの生の声が聞こえた。
いつの間にかハルが私を支えていたのだ。
私たちは目を見て笑い、
ステージを端から端まで歩いた。
ハルに支えられながら。
ステージ右端に行き、
「ありがとうございましたー!」
ステージ左端に行き、
「ありがとうございましたー!」
椅子の前に戻り、ハルから離れて
「ありがとうございましたー!」
最後の最後まで私は立ったまま手を振り、
幕が下りるのを見守った。
ふぅー…。
幕が降りて、私は椅子に座り込んだ。
ちょっとだけ痛い。
でも歩けてよかった。