居場所をください。

クリスマス




それから私は治療に専念し、

1週間で元通りの足となった。


それから延期されてた仕事、仕事の毎日で

気がつけば今年もあと少し。


私の髪の毛は金髪へと戻り、

前髪は安定の茶色。

ファッション誌の撮影もして、

イメージモデルを務めるブランドの撮影もして

年末の忙しさが押し寄せ、

それが終わった頃やってきたクリスマス。


今日はアルバム"私。"の初レコーディング。

今日は3曲録るのだ。


「調子よければ5曲くらい録りたいな。」


「それはさすがに疲れるよー。」


私は佐藤さんと車でスタジオへと向かっていた。


「佐藤さん、デートは?」


「夜、俺んちで会うくらいかな。」


「へぇ、そっかぁ。

佐藤さんちって広くて綺麗そう。」


「ぜんっぜんだよ。

前に貴也に狭いって言われたし。」


「え、それはないでしょ!」


「ほんとほんと。

美鈴ちゃんちより狭いよ。」


「えー、想像できない。」


「俺は給料制だからなー。

本当金もないし。」


「でも普通の人より多いでしょ?」


「まぁこの世界だから多少はね。

でもそうでもないよ。」


普通がどのくらいだとかよくわかんないけど……

佐藤さんは多くないのかな。


よくわかんないや…。


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