居場所をください。



「お疲れ。」


「長曽我部さん。

ありがと。」


歌い終わった私は

長曽我部さんの元へと戻った。


「帰るか。」


「うん!」


寒いし早く着替えたいや。


「美鈴は何色の服が好き?」


「ダントツで白。」


「なるほどな。了解。」


了解?なんだそりゃ。


私は楽屋に戻り、

着替えをして車へ戻った。


番組はまだ続いてるのに

さっさと帰ることができるなんて最高だね。


「ねぇ、長曽我部さん。」


「ん?」


「私ってなんで美鈴っていうか知ってる?

聞いたことある?」


「名前の由来か?知ってるよ。」


「なに?」


「美鈴の母親がおめでたですって言われた日と

美鈴が生まれた日に病院で讃美歌が流れてたんだと。

その讃美歌はCDとかじゃなくて

子供たちがハンドベルで演奏してたんだって。

その鐘の音がとても綺麗で

お前にもそんな綺麗な音楽に触れてもらいたくて

美鈴ってつけたんだと。

それに、讃美歌は神を讃える歌。

美鈴が生まれた日に讃美歌が流れてて

みんなに祝福されているかのようだった

とも言ってたかな。」


「え、お母さんからの直接?」


「そうだよ。」


「そっかぁ…」


綺麗な音楽か。


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