居場所をください。
「お前の声は綺麗だよ。
変な癖もない、透き通った声してる。
だから名前の由来通りだな。」
「ほんと?ありがと。」
「ちゃんと声量も感情もあるしな。
相変わらず低い声は出ないみたいだけど。」
「水木先生から聞いた?」
「他にいないだろ。」
「音域狭いんだよね。
ぜんっぜんでない。」
「先生も悩んでたよ。」
「やっぱり?」
「美鈴で苦労したの初めてだとさ。」
「え、初めて?
すごいじゃん、私。」
「自分で言うなよ。」
でも低い声ってどうしてもでない。
汚くなら出るけどさ。
「水木先生が手こずるなんて相当だからな。」
「え、そうなの?」
「あの人はこの世界の天才だからな。
美鈴はよっぽどひどいんだろうな。」
「ちょっと。
それもひどいよ。」
まったく。なんなのさ。