居場所をください。
終演後
初めて生で見る演技に
私は圧倒されていた。
貴也も普段とは違う貴也で
まるで別人で
プロの本気を垣間見た。
「美鈴、帰ろ?」
「あ、ごめん。
ちょっと貴也のとこ行ってくる。」
「そっか、じゃあ私先に帰ってるよ。
ゆっくりしてきて?」
「え、でも……。」
「実は高橋くんが迎えに来てくれたの。
だから遠慮しなくていーよ。」
「ほんと?」
「ほんと。
じゃ、また遊ぼうね!」
そういって夏音は帰っていった。
私がデビューするとは知らないのに
私なんかが挨拶に行けるなんて
疑わないのかなぁ…。
まぁ夏音少し天然っぽいし
夏音ぽいといえば夏音ぽいけど。
私は関係者以外立入禁止のところで立ち止まった。