居場所をください。
「お疲れさま。」
「さんきゅ。」
貴也がそんなこと言ったの初めてじゃない?
……………どうしたんだ、急に。
「すっごいよかったよー。
テレビとは全然違うね。」
「まー、生だからな。」
「緊張とかしないの?」
「する。何回やっても毎回緊張する。
じゃなきゃ気がゆるむだろ。」
そっかぁ、そうだよね。
「チケットもありがと。
友達もすごい喜んでたよ。」
「ならよかった。」
貴也はそういって微笑んだ。
私に笑いかけるのは初めてで
本物のの貴也の笑顔を見た気がして
不覚にもドキッとした。
「………貴也って夏音のこと気に入ったの?」
「は?なんでそうなんだよ。」
突然いつも通りの貴也に戻った。
「え、だってチケットくれたときに
夏音と来ればっていってたし、
夏音が喜んでたって言ったら嬉しそうだし…。」
「それはお前の友達だからだろ。
別に気に入ったとかじゃねーよ。」
「ふーん、そっか。」