居場所をください。
「あ、そうだ。
長曽我部さんこれ。」
「あぁ、また美鈴に?」
「俺ができることなんてこれくらいしかないですから。」
「渡しとく。」
……………なんだろ。
「貴也が一途すぎて気持ち悪い。」
「てめーは黙ってろ。
隼也がうざいんでもう行ってください。」
……………隼也も相変わらずだけど
貴也も相変わらずだね。
「はは、わかったよ。
なぁ、貴也。
まだ美鈴のこと好き?」
なっ!なんなんだその質問は!
「……好きですよ。」
貴也の"好き"が聞けて
さっきまで我慢してた涙が溢れてしまった。
「そ。ならよかったわ。
美鈴も貴也からもらったもの
全部大切にしてるよ。
隼也、乗れ。行くぞ。」
「はい。
じゃーな、貴也。」
「おう。」
貴也が隼也に短く答えると
車が少し揺れて、ドアがしまった。
「じゃあまたな。」
長曽我部さんの声が聞こえて
車がまた動き出した。