居場所をください。

「貴也はたぶん

美鈴がいたことに気づいてたよ。」


長曽我部さんが言った。


「なんで？」


「ハットはそこに置きっぱなしだし、

俺が美鈴のこと好きかなんて

普段は絶対聞かないからな。

好きだって答えるとき、目は美鈴の方を向いてたし。」


「……そっか。」


早く会いたい。会いたい。会いたい。

近くて遠い、その距離が縮まるのは

いったいあとどのくらいなんだろう。


「……がんばろ。」


「なにを？」


私の一人の呟きに

隼也が答えた。


「貴也に近づくために仕事頑張るの。」


もう売名なんて言わせないために

貴也がいなくたって売れて

貴也に少しでも近づいておきたい。


「だから、隼也は越さないと。」


「……それってもしかして

俺が貴也に負けてるっていってる？」


「もしかしなくても言ってる。」


「ぜってー負けねーし。」


「まぁ美鈴が勝つ予定だけどな。」


「長曽我部さんがそれ言ったら

俺の希望の光が薄くなるんでやめてください。」


「俺は美鈴のチーフマネだからな。」