居場所をください。
「なにか食べる?」
「うん、ハヤシライス。
今日すっごいお腹すいてるの。」
「じゃあすぐ用意するね。」
マスターのハヤシライス、何カ月ぶりだろ。
この喫茶店自体、来るの久しぶり。
「美鈴ちゃん、怪我したんでしょ?」
「あ、うん。もう治ったけどね。」
「貴也から聞いたよ。」
「え、なんで貴也から?」
ブログにも書いたし、
確かネットニュースにも出てたのに。
あ、貴也もそっから見たのか。
「貴也、ライブいってたよ。誠と。」
「え!え、そうなの!?」
知らなかった……
「はい、ハヤシライス。」
「あ、ありがと。
いただきまーす。」
「貴也、すげー心配してたよ。
でも誠が言うにはめっちゃいらいらしてたって。
嫉妬で。」
「嫉妬?そんな場面あったっけ……」
むしろ好きな人いるとか答えてた気がするけど。
「男とベッタリくっついて歩いてたとか。」
「あー、ハルか。
別にそんなんじゃないのに。
ただ歩くのに支えてくれただけじゃん。」
「誠もそう言ってたけど
貴也は単純でガキだからな。」
ガキって。